住宅の性能について設けられた基準として「住宅性能表示制度」というものがあります。
これは平成12年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」に基づき、良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられました。
その大きな特徴は「構造」や「断熱性」など10の分野に対してモノサシとなる基準が設けられたことです。
この10の項目は、全てにおいて最高等級を取らなければならないということではなく、暮らし方や、建て方を検討する目安としてご利用いただけます。
以下では、それぞれの項目について、もう少し詳しくご説明します。
1.地震などに対する強さ(構造の安定)
地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価します。等級が高いほど地震などに対して強いことを意味します。
このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。
このほかにも、強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。
内容 | 等級 | 評価基準 | |
---|---|---|---|
耐震等級 | 倒壊防止 | 3 | 建築基準法の1.50倍 |
2 | 建築基準法の1.25倍 | ||
1 | 建築基準法の1.00倍 | ||
耐震等級 | 損傷防止 | 3 | 建築基準法の1.50倍 |
2 | 建築基準法の1.25倍 | ||
1 | 建築基準法の1.00倍 | ||
耐風等級 | 倒壊・損傷防止 | 2 | 建築基準法の1.20倍 |
1 | 建築基準法の1.00倍 | ||
耐積雪等級 | 倒壊・損傷防止 | 2 | 建築基準法の1.20倍 |
1 | 建築基準法の1.00倍 | ||
地盤・杭の許容支持力と設定方法 | 明示 | 地盤の地耐力及び杭などの補強方法の明示。 | |
地盤の強度調査の明示。 | |||
地盤・杭の許容支持力と設定方法 | 明示 | 地盤の地耐力及び杭などの補強方法の明示。 |
2.火災に対する安全性(火災時の安全)
住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための、燃え広がりにくさや避難のし やすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。
内容 | 等級 | 評価基準 | |
---|---|---|---|
感知器設置等級 | 自住戸火災時 | 4 | 自火報設備を全居室・台所・階段に設置 |
各階毎に音響装置の設置 | |||
3 | 住宅用火災警報機を全居室・台所・階段に設置 | ||
2 | 住宅用火災警報機を全台所とその他(廊下、階段、居室1室の内いずれか)1ヶ所設置 | ||
1 | 制約なし | ||
脱出等級 | 階数3以上の場合 | 明示 | 避難器具(はしご・タラップなど)設置の有無を明示 |
耐火等級 | 延焼部分の開口部 | 3 | 耐火性能時間60分以上 |
2 | 耐火性能時間20分以上 | ||
1 | 制約なし | ||
耐火等級 | 延焼部分の開口部以外 | 4 | 外壁・軒裏の耐火性能時間60分以上 |
3 | 外壁・軒裏の耐火性能時間45分以上 | ||
2 | 外壁・軒裏の耐火性能時間20分以上 | ||
1 | 制約なし |
3.柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)
年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されている かを評価します。等級が高いほど柱や土台などの耐久性が高いことを意味します。
内容 | 等級 | 評価基準 |
---|---|---|
劣化対策等級 | 3 | 構造躯体が3世代(75年~90年)もつ程度の対策 |
2 | 構造躯体が2世代(50年~60年)もつ程度の対策 | |
1 | 建築基準法に定める対策 (構造躯体が25年~30年もつ程度の対策) |
4.配管の清掃や補修のしやすさ(維持管理への配慮)
水道管やガス管、排水管といった配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するより も早く取り替える必要があります。
そこで配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価し ます。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。
そこで配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価し ます。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。
内容 | 等級 | 評価基準 | |
---|---|---|---|
維持管理対策等級 | 専用配管 | 3 | 専用配管をコンクリート内(基礎の立上り部除く)に埋め込まない |
地中埋設管上に、コンクリートを打設しない(外部の玄関ポーチ・テラスは除く) | |||
点検口や掃除口が設けられていること。 | |||
2 | 専用配管をコンクリート内(基礎の立上り部除く)に埋め込まない | ||
地中埋設管上に、コンクリートを打設しない(外部の玄関ポーチ・テラスは除く) | |||
1 | 制約なし |
5.省エネルギー対策(温熱環境・エネルギー消費量)
暖房や冷房を効率的に行うために、壁や窓の断熱性能と、住宅で使用する電気・ガス・灯油等の消費量を石油、石炭、天然ガスなど(一次エネルギー)に換算して評価します。
等級が高いほど省エネルギー性に優れていることを意味します。
(ただし、気象条件によって8地域に分けられ、それぞれ基準が異なります。)
等級が高いほど省エネルギー性に優れていることを意味します。
(ただし、気象条件によって8地域に分けられ、それぞれ基準が異なります。)
内容 | 等級 | 評価基準 |
---|---|---|
断熱等性能等級 | 4 | 平成28年に制定された基準に適合 |
3 | 平成4年に制定された基準に適合 | |
2 | 昭和55年に制定された基準に適合 | |
1 | その他 | |
エネルギー消費量 | 5 | 一次エネルギー消費量のより大きな削減のための対策が講じられている |
4 | 一次エネルギー消費量の大きな削減のための対策が講じられている | |
1 | その他 |
6.シックハウス対策・換気(空気環境)
接着剤等を使用している建材から発散するホルムアルデヒドがシックハウスの原因のひ とつとされているため、接着剤を使用している建材などの使用状況を評価します。
また、住宅の中で健康で暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設 備が整えられているかについても評価します。
また、住宅の中で健康で暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設 備が整えられているかについても評価します。
内容 | 等級 | 評価基準 |
---|---|---|
ホルムアルデヒド対策 | 明示 | 居室の仕上材や天井裏等の下地材を明示 |
特定建材の ホルムアルデヒド対策等級 |
3 | F☆☆☆☆(フォースター)等級以上を使用 |
2 | F☆☆☆(スリースター)等級以上を使用 | |
1 | 制約なし | |
全般換気対策(居室) | 明示 | 24時間換気システム |
局所換気対策 | 明示 | トイレ・浴室・台所の換気対策を明示 |
化学物質の濃度測定 | 明示 | 建物完成段階にて空気中の化学物質濃度を実測し、その結果と測定条件等を明示 |
7.窓の面積(光・視環境)
東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているかを評価します。
内容 | 等級 | 評価基準 |
---|---|---|
単純開口率 | 明示 | 居室全体面積に対する開口部面積の割合を明示 |
方位別開口比 | 明示 | 全居室の開口部面積に対する方位毎の開口部面積の割合を明示 |
8.遮音対策(音環境)
主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸 への音などについて、その伝わりにくさを評価します(この評価項目はオプションです)
<td” style=”width: 10%; height: 21px;”>3開口部の透過損失水準が25等級(T-2等級)
内容 | 等級 | 評価基準 | |
---|---|---|---|
透過損失等級 | 居室の外壁開口部 | ||
2 | 開口部の透過損失水準が20等級(T-1等級) | ||
1 | 制約なし |
9.高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)
高齢者や障害者が暮らしやすいよう、出入り口の段差をなくしたり、階段の勾配を緩くし たりというような配慮がどの程度されているかを評価します。
<td” style=”width: 10%; height: 21px;”>5長寿社会対応設計指針の推奨基準程度
内容 | 等級 | 評価基準 | |
---|---|---|---|
高齢者配慮対策等級 | 専用部分 | ||
4 | 長寿社会対応設計指針の基準程度 | ||
3 | 部屋の配置・段差・階段・手摺・通路の幅などに基本的な措置対応 | ||
2 | 部屋の配置・段差・階段・手摺の設置に基本的な措置対応 | ||
1 | 建築基準法を満たしたもの |
10.防犯対策
外部開口部(ドアや窓など)について、防犯上有効な建物部品や雨戸等が設置されて いるかの侵入防止対策を評価します。
内容 | 等級 | 評価基準 |
---|---|---|
開口部侵入防止対策 | 明示 | 各開口部の侵入防止対策の明示 |
上記の内容について、詳しくは一般社団法人 住宅瀬能評価・表示協会のページをご覧ください。
⇒一般社団法人 住宅瀬能評価・表示協会