トウキョウ・タワーハウス
都心において、職住一体の生活のあり方を追求した建築である。
建物は、「低層部(1~3階):事務所」、「中層部(4~6階):接客スペース」、「高層部(7~9階):自宅」の3つのゾーンによって成り立っている。
敷地は大通りに面した約20坪の狭小地。敷地の価値である600%の容積率をフルに活用するために、天空率計算による高さ制限緩和を採用して、9階建ての塔状建物とした。
ところで、このような塔状建物の場合、構造計算や施工面で技術的な課題がつきまとう。
構造に関しては、標準よりも1等級高い基準によって設計している。
また外壁は施工性と耐久性を両立すべく、フッ素樹脂塗装の中空セメント板とした。
なお、断熱性能に関しては、次世代省エネ基準相当の仕様としている。
このような、面積・構造強度・耐久性・断熱性の各基準に対して、高水準の性能を担保した上で、「すまい」としての快適性を高めるために、光・風・緑・プライバシー・眺望といった感覚的な要素も、この計画では非常に重要視したいと考えた。
それらの横断的な価値観を、シンプルに実現するためのシステムとして、建物全体を南北から2枚の壁で挟み込む建築構成を採用した。
これによって、近隣からのプライバシーを確保した上で、東西方向に対してはなるべく開放感を高めることとした。
開放された東西面からは、隣接する神社の豊かな緑の借景を望む他、高層部からは間近に聳え立つ東京タワーを仰ぎ見ることができる。