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Fit建築設計事務所のブログ

オクシモロンによる考察シリーズ第一段。
「光」、「緑」、「階段」。
これは、僕が建築を考えるときに、よく意識していることです。
ところで唐突ですが、近代建築のここ100年の流れを大雑把にいうと、ドミノ・システムに代表されるモダニズムに始まり、その反動として生まれたポストモダン、その後のミニマリズムの流行やデコンストラクションの出現と衰退・・・などと建築史学上は解説されます。では、最近の風潮はどうなのでしょうか?
まずもって、合理性や普遍性を追求しただけではすぐに飽きられます。だからといって、装飾に大枚をはたいてくれるようなお施主様がいるご時世でもありません。そういう目で最近の有名建築を見ていると、「如何に装飾していないかのように装飾するか」を争っていると捉えることもできます。その様な傾向は、装飾が実用的機能を併せもっていないと成立させてもらえないかのようにも感じます。そして私たち建築設計者たちは、必死で意匠性にこだわっているにも関わらず、決してそのことを「装飾です」とは言わない風潮にあるのかも知れません。「単純な装飾には出資できないけど、実用的な要素も兼用しているならいいのかも」というような現代の経済感覚を強く反映しているように思います。言い換えると『装飾性のない装飾美』の流行、あるいは『実用装飾主義』とでも言ったところでしょうか?
 そのような時代の要請に対する一つの解答例として、冒頭の「光・緑・階段」というような、原初より建築にはなくてはならない実用的な要素の組み合わせが有効に作用するのではないかと最近考えています。
 
(※)オクシモロン:パラドックス(逆説)の一形態。ギリシア語のoxy(鋭い、賢い)とmoron(鈍い、愚かな)を合成して作られたことば。矛盾撞着語法と訳される。

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