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Fit建築設計事務所のブログ

つい最近、藤本壮介さん著の「原初的な未来の建築」を読みました。この中で、氏は「洞窟」的空間を、モダニズムにおけるドミノシステムを超える可能性を秘めた概念として、象徴的に捉えています。非常に面白く、「目から鱗」的な内容でした。おススメです。
そのあくる日に、「地球を救う建築 High -Tech & Tradition」という展覧会の「槇文彦+陣内秀信+古市徹雄」シンポジウムに行ってきました。150人程度しか入れないこじんまりした会場で、槇文彦さんのレクチャーを1時間も聞けちゃいました。槇さんの話は、分かりやすい上に体験に裏打ちされた感じで、そのオーラに感動してしまいました。
ところで、偶然なのか単なる流行なのかわかりませんが、槇さんも「洞窟」をキーワードの一つとしたストーリーを話してくださいました。
かいつまんで言うと、人間はもともと動物であり、その動物が本能的に住居に求めることは「隠れ家」であること、そして敵を発見できる「眺望」があること。崖の中腹にある洞窟は、そういう意味でまさに理想的な住まいだそうです。槇さんは建築を考える際、そんなふうに人間の本質に回帰して、文化人類学的な視点でものを考えるそうです。そんな風に思考することによって、普遍性をもち、時間を超える建築が創造できるのではないかと考えておられるそうです。そしてその時間とは、「記憶の宝庫であり、建築と都市の調停者であり、時間だけが建築の最終審判者になり得る。」そうです。
いい話が聞けました。
ところで、本題と関係のない話のなかで、槇さんはこんなことも言ってました。「某元首相や某都知事は、『日本の風景が汚い』と言っているが、いまの日本の風景には必然的理由の上に成り立っているのだから、そんなことは言ってはいけない。」そうです。
そんな考え方もあるんですね。またもや目から鱗でした。

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