「美しい国へ」 = 経済成長戦略?
独立間もないせっかくの機会を利用して、私が建築に期待する、建築の社会的意義について、すごくまじめに書き綴ってみたいと思います。
「美しい国」というフレーズは、ご存じのとおり時の安倍晋三内閣が提唱した政策課題です。安倍内閣が、「美しい国、日本。」と題した政権構想を掲げて総理大臣に就任した2006年9月の時点では、内閣への支持率は非常に高いものでした。すなわち、美しい国ということは、おそらく多くの国民が望んでいる、国の理想像だと推察することができます。そしてまた、おそらく国を美しくするためには、大きな経済活動を伴い、内需拡大とともに大きな経済成長を導くのではないかと、だれしもが少なからず期待したのではないでしょうか?美しい国に誇りをもって生活できることこそ、私たちが心のどこかで求めていることなのかもしれません。(既知のとおり、様々な要因からその後の政権支持率はどんどん落ち込み、政権崩壊と同時に、残念ながらその言葉も社会からは忘れ去られてしまいましたが・・・。)私は、特に支持政党を持たない、どこにでもいるいまどきの一青年に過ぎませんが、「美しい国」という言葉には、そのように多くの共感を抱いていました。
ところで、「美しい国」にするために今の日本を変えるとしたら、どのような方法が考えられるのでしょうか?一番イメージしやすいのは、都市の町並みを美しくするということでしょうか?他には、人々が生活するインテリア空間や家具、装飾などを美しくすることも、その方法の一つと考えられます。そして最終的には、そのような環境で生活する人々の、文明文化そのものを美しくすることこそが必要不可欠なことなのかもしれません。この他にも方法はまだまだ考えられますが、ここで特筆したいのは、その中に建築家が果たすべき役割が多く含まれているということです。20世紀の高度成長期に、勢いに任せてジャンジャン作ってきた都市や生活空間を見直し、それらを修正しながらブラシアップしてゆくことが、今求められているのかもしれません。このことを、すこし乱暴に前段の内容と結びつけてしまうならば、いまこそ建築設計業界が「美しい国づくり」を牽引し、日本の新たなる経済成長を誘発すべき時が来たのかもしれません。ただし、一昔前とは違い、それを先導するのは公共事業ではなく、あくまでも民間事業が主体だということは言うまでもありませんが。
私たちのような設計事務所が単独で「美しい国」を作ることなど到底できません。でも私たちは美しい建築を作ってゆきたいと考えています。今後の私たちのその小さな活動の積み重ねが「美しい国づくり」の一助となり、どこかで社会全体の経済につながってほしいと期待もしています。そして建築設計には、社会にそのような利益を還元できる、すなわち国の経済成長戦略にも影響を与えられる大きな可能性を秘めていると確信しています。
経済成長という話題が壮大すぎて、文章のまとめ方が強引になりましたが、そんなことを頭の片隅で考えながら活動していきます!(山本)
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